そこに愛があったから。

コラム

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illustrated byNo290【Ajuga】

 

『島じゃ常識 さざえカレー』

この商品名を聞いたとき、思わずよだれが。(うっ。食べたい!
旅に出たら、ガイドブックに載っている店に行くよりも、
たいていは地元の人に聞いた方が美味しい店にたどりつけるもんです。

まだ自分の知らない、美味しいものを食べてみたい!
そんな好奇心が、ギュっと凝縮された商品名であります。
すごいなぁ。

この商品をプロデュースしたのが、梅原真さんというデザイナーさん。
「ニッポンの良き風景を残し続けるためのデザイン」をモットーに、
一次産業にまつわる数々の商品、事業を プロデュースされている方です。

 

梅原真さんの活動自体も、とっても熱があって魅力的なのですが、
私が、思わず注文してしまったのが、新聞で読んだ次の一文でした。

 

「平凡パンチの表紙を描いていたイラストレーター、大橋歩さんにあこがれていた」

 

大橋歩さんの影響を受けて、梅原さんがデザインの道に進んだ、、とは
一言も書かれていませんが、でも何かしら影響を受けられたんじゃないか、と。

 

平凡パンチ、は戦後まもない頃に創刊された若者向け週刊誌。
貧しい中必死で働く人たちに「娯楽が必要だ!」という強い思いで、
数々の苦労を乗り越え、創刊された雑誌なのです。
(参考『マガジンハウスを創った男 岩堀喜之助』

 

『もしも~だったら』なんて仮説は、無意味かもしれませんが、
もしも、「平凡パンチ」がなかったら、「さざえカレー」もなかったかもしれません。
誰かが、莫大な熱量を捧げた何かに、
他の誰かが影響を受けて、 また新たなものが生み出される。
平凡パンチ自体は、発行部数の低下で廃刊になってしまったけど、
そこに込められた愛の息吹の芽は確実に残ってるんですね。
それも、こんな、一見関係ないように見える場所で。

 

映画にもなった『フィッシュストーリー』(伊坂幸太郎著)を思い出しました。
ぜーんぜん売れないロックバンドが、最後に出したレコード「FISH  STORY」が、
さまざまな経緯を経て、いろんな人に影響を与え、
やがて地球を救うという物語です。

 

今自分の目の前にあるいろんなものも、
かつて誰かが愛をこめて仕事した結果なのかもしれませんね。

自分もそんな仕事がしたいわ。

 


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