選べる幸せ、選ばない決意

コラム

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illustrated byNo112 国井さおり

 

先週末、小津安二郎監督の「秋刀魚の味」(1962年)と、
「SEX AND THE CITY ~THE MOVIE~」(2008年)を立て続けにみました。

両方ともよかったのですが、
45年あまりたつと、時代はこうも変わるのか!とビックリ、というか改めて実感。
特に、女性の生活と価値観です。

 

一番象徴的だったのが、この台詞たち。

「秋刀魚の味」で、結婚しないで、父親と弟の世話ばかりしている年頃の娘(24歳)に、
父親が結婚を勧めるシーン。すると、娘はこう言います。
「あら、私、いいの。このままでいいの。」


 

一方、「SEX AND THE CITY」で、
バリバリ仕事をするキャリアウーマン(48歳)が、恋人に別れを告げるシーン。
「あなたの事を愛している。
でも、この際だからはっきり言うけど、私、あなたより自分が大事なの」


※(台詞をメモした訳じゃないので、多少違うかもしれません)

 

 

結婚か、実家の家事手伝いか、の選択肢しかない24歳と、
自立して生き、恋人をとるか自分の自由をとるか、好きなように出来る48歳。

 

舞台となっている国が、日本とアメリカで違うにしても、
この約50年で、女性の選べる人生の選択肢ほど、
変わったものはないんじゃないか、と思いました。

illustrated byNo202宝枕

 

実際、祖母の昔話など聞くと、お姑さんからひどく苛められたり、
旦那さんは完全な亭主関白で、お金を一切渡してもらえず、
こっそり財布から抜き取って家計をやりくりしてた、、など、
今の時代なら、絶対離婚するわ・・というエピソードが満載。

 

 

今の自分たちの環境はとても恵まれていると思いますが、
しかし、今の私たちなら不満たらたならな環境でも、
「私は、幸せだ。」
って自然に言える、おばあちゃん達の 精神力は見習いたい!

 

選択肢が多くても、体はひとつ。

有森裕子さんの著書「やめたくなったら、こう考える」の中で、
【好き嫌いはやめる理由にならない】
とあります。

 

有森さんは、マラソンを好きで続けてきたわけじゃない、といいます。
やめる理由がなかったからだ、と。
ずっと、「自分にはまだまだ足りないものがある」と思ってきた。
何も達成できてなくて、形が見えてないものに、好き嫌いなんか判断できない、と。

 

私たちは、選択肢が増えた分、
何も達成できてない状態で、簡単に別の選択肢に乗り換えられるようになりました。
それは、とても恵まれていて感謝すべき事なんですが、
「ここじゃない、どこかに自分の幸せがある」
ってことを、永遠にやり続けていても、何も見えてこない、と思う。

 

選択肢が増えたこと自体はとっても幸せだけど、
結局、体がひとつである以上、一度に2つの選択肢を選ぶことは不可能。
選択肢が多かろうが、少なかろうが、
今ここを一生懸命生きていく、その事自体に変わりはないんだなぁ。

 

選べる幸せを実感しつつ、一度決めたら、もうこれ以上選ばないで、
前に進むぞ!って決意も時に必要です。

 

ちなみに。
マイピクにも、たくさんイラストレーターさんがいて、たくさん選択肢があります。
迷ったときは、マイピク案内人までコチラからご相談くださいませ~。

 


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